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人手が常に足りない飲食店が勘違いしている未経験採用に関するダメな考え方。

「アルバイトや社員を採用するのにただでさえ苦労しているのに、入社してもすぐ辞める人ばっかりで何がそんなに気に食わないの?」このような悩みを抱えているオーナー、担当者は多いのではないでしょうか。今回は採用において多くの飲食店が勘違いしているダメな考え方と、どのような解決法があるのかご紹介します。

未経験者OKなのにやたら要求が高い

飲食店の求人広告の9割が「未経験者OK」と記載されているのが現実です。「そこまでハードルを下げないと応募自体が集まらないから仕方なくそう書いている」というお店も多いかもしれません。

しかし、中にはいざ面接に来てくれた人に対して「挨拶がなっていない」「声が小さい」「なんか暗い」等の第一印象だけで、不合格にするお店も多いはずです。飲食店未経験者を対象にしているはずなのに、実はコミュニケーション能力が仕上がっている人を求めているのです。

「いやいや、挨拶とか声の大きさって基本的なところだから、飲食店で働く以前の問題だよ」そう答える飲食店のオーナー、担当者もいらっしゃるかもしれません。しかし、それほど基本的な「お店の中で大きな声で笑顔で挨拶する文化」があなたのお店で根付いているのであれば、飲食店未経験者でも働くうちにその姿勢が身についていくはずです。

もし、「笑顔で大きな声で挨拶ができない」スタッフばかりで、応募してくる未経験者にも同じ不満を抱えているとしたら、お店の運営がそもそも失敗しています。すでに働いてくれている経験豊富なスタッフに対して基本的なことの指導ができないのに、新人に同じことができるはずがありません。つまり「経験豊富なスタッフにも徹底できないことを初めからできる未経験者の新人を探している」という大変虫のいい採用を行おうとしているのです。

本気で社員の教育に取り組んでいれば入店時のレベルは関係ない

以前に取材で行ったある居酒屋の話をします。仕込み中の時間帯に訪れたのですが、こちらが「こんにちは、失礼します」と挨拶して入ると、その場にいた全員が元気よく笑顔で「こんにちは!」と返してくれました。アポがあることを伝えるとすごく丁寧に事務所に案内され、お茶を出してくれました。業者ではなくお客様として扱ってくれたわけです。すごく感動しました。

これは一般企業であればある程度当たり前かもしれませんが、飲食店のケースでは珍しいと思います。よくあるのは挨拶をするとスタッフがだるそうに出てきて、業者だとわかると扱いがぞんざいになる。もちろん他のスタッフは無視。という状況です。

前述の元気よく丁寧な対応をしてくれた居酒屋の社長さんに感動したことを伝え「どうやって挨拶や丁寧な接客を徹底させたか」を尋ねました。

「全員が挨拶や丁寧な接客をするのが当たり前な環境を作る」

そのようにご回答をいただきました。つまり、環境がそうであれば加わった人は自然にいい影響を受けて変わっていく。逆に変われない人は自然にいなくなります。

ですので、笑顔で元気よく挨拶ができるスタッフが欲しいのであれば、まず今の店でそれができているかを見直す必要があります。もし、うまくいっていないのであればまずは既存のスタッフが徹底するまで根気よく指導し続けましょう。全員が笑顔で元気よく挨拶できるようになればそれが環境になるので、未経験者の新人も真似をできるのです。

第一印象で判断せずに「うちの店に入ってくれたらきっと素敵な接客ができるようになるから大丈夫だよ」くらいの懐の広さを見せたいところです。

ちなみに前述の社長さんは挨拶等の基本的な行動を社員に徹底するための冊子を作成し、それを元に常に自分の理想を社員に話しています。加えて、新人の面接の際にはお店のことや自身の考えを理解してもらうために1時間半程度、社長自身が話しまくるそうです。つまり、会社やお店が判断するのではなく「求職者にお店を理解してもらい働くかどうか決めてもらう」というスタイルなのです。

未経験OKの求人を出す場合の注意

未経験者OKな求人広告の書き方でいうと、「簡単なお仕事だからすぐ覚えられる」「先輩がついて丁寧に指導」のような謳い文句をするお店が多いと思います。しかし、これだと、別にあなたのお店に応募する理由になりません。なぜなら仕事の内容自体はどこの飲食店もそこまで大きく変わらないからです。業務が楽で給料が高いことだけを応募基準に選ぶ「質の低い求職者」が集まる危険性があります。

「この店で働いたらどんな自分になれるか」をイメージさせるような求人広告を書くことが大切です。

例えば

「あなたと話したお客様はみんな元気!そんな接客のプロに絶対なれる!」

「包丁の持ち方もわからなかった僕が今ではアンコウさばいてます!」

このように成長した自分の姿をイメージさせる求人広告を書くことで、成長意欲が高く目標がある求職者を集めやすくなるはずです。

「誰でもいいからきてください!簡単だから安心して」というニュアンスより「うちの店で働けば君自身の成長にこんないいことがあるよ!」という募集の仕方をしましょう。前者だと業務で辛いことがあったり思っていたのと違うことがあると、すぐ嫌になってやめてしまうかもしれません。しかし、後者であれば目指す目標があるので少々のことではへこたれない可能性が高いです。

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未経験を採用すること=人を育てること

未経験を採用することは教育が必要なので、お店のリソースを消費します。逆にお店のリソースを消費したくないけど時給が安いから未経験歓迎にしているお店があるとしたら、スタッフにとってもお店にとっても実りが薄い採用活動になってしまいます。未経験を採用すること=人を育てることです。決して安易な労働力の確保ではありません。


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